孤独死などによって遺体の発見が遅れると、部屋や建物が深刻なダメージを受けます。
特殊清掃が必要となる現場の場合は、ハウスクリーニングのように一般的な清掃では原状回復するのは不可能です。
特殊清掃が必要となる現場とは孤独死の他にも、自殺や事故、事件で人が亡くなった場所やゴミ屋敷を指します。
高齢化の進行だけではなく独居生活者が増加傾向にある日本では、特殊清掃はもはや他人事とはいえない身近な問題です。
家族や知り合いが孤独死をした場合にどう行動すればいいか、いさというときのために知識を深めていただきたい思います。
壮絶な特殊清掃の仕事内容や作業員の資格についても説明します。
特殊清掃という言葉を知っていても、仕事内容をご存知の方はあまりいらっしゃらないでしょう。
簡単に説明すれば、孤独死や自殺などが起きた部屋を元の状態に戻す(原状回復)作業を行う仕事です。
特殊清掃のニーズが高まり始めたのは2010年ころで、高齢化の進行とともに孤独死が増加した社会背景が要因といわれています。
いつの時代もそうであるように社会問題が新たな業種を創出してきたわけですが、できることなら需要が高まってほしくはない業種のひとつと言わざるえません。
仕事内容を詳しく説明します。
部屋を元通りきれいにする作業です。
孤独死や自殺で亡くなった場合、遺体の発見が遅れれば、部屋や建物のダメージは深くなります。
遺体の腐敗が進んでいれば、悪臭の除去や害虫を駆除するための専門的な処理を行う必要があります。
原状回復では主に3つの作業をします。
遺体があった場所には体液や血液が付着しており、部屋中に悪臭が染み付いています。
特殊清掃では、この付着した汚れと臭いを特殊清掃専用の機材・薬剤を使って落とします。
遺体の発見が遅れた部屋には、大量のハエやウジ、ゴキブリなどの害虫が発生します。
特殊清掃の妨げになるだけではなく、害虫を媒介してウイルス感染する危険性もあり、専用の殺虫剤やくん煙剤を用いて駆除します。
特殊清掃の作業は死臭を外に漏らさず、害虫が部屋の外に出て近隣宅に入り込まないように窓や玄関ドアを閉めたまま行います。
体液や血液が床や壁の深部にまで染み込んでいる場合は、洗浄作業で汚れや臭いを完全に除去するのは難しく、床材や壁紙を撤去して基礎部分の交換が必要になる場合があります。
床や壁への浸透が深刻であれば、清掃作業は行わず、初めからリフォームや解体工事に着手することもあります。
特殊清掃が必要な現場は一般の方にとってはあまりにも壮絶で、遺族や関係者が室内に立ち入って遺品整理を行うのは難しく、特殊清掃業者が代行するケースがほとんどです。
特殊清掃は部屋の清掃だけではなく、家財や持ち物に付着した汚れや臭いもきれいに除去しながら遺品整理を進めてくれます。
体液や血液で汚染された寝具や家具などは自治体の粗大ゴミには出せません。
特殊清掃業者が家電リサイクル料金が発生する冷蔵庫などの大型家電や不用品を処分してくれます。
また、特殊清掃の現場はゴミ屋敷化しているお宅が多いのも特徴です。
高齢者の中には身体能力の低下や病気、認知症などが原因で物の処分が難しくなり、ゴミや不用品をためやすくなる方もいらっしゃいます。その結果、ゴミ屋敷のようになってしまうと推測されます。
一般的なハウスクリーニングでは汚れを落とせない、特殊清掃が必要なケースとは次の3つの現場です。
特殊清掃がなぜ必要になのか、その理由も一緒に説明します。
遺体の腐敗が進むと体液や血液が皮膚を突き破って流れ出し、汚れや臭いが室内と家財道具などに付着します。
死臭は夏場であれば2~3日、冬場でも1週間程度で周囲に漂い始めます。
死臭特有の臭いは発生源を突き止めて根元から根絶しない限りは完全に取り除けません。
また遺体の発見が遅れた現場では、ハエやウジムシ、ゴキブリなどの害虫やネズミなどの害獣が発生しているため、駆除も必要になります。
このような複合的な要因から、特殊清掃は欠かせません。
家主の存命にかかわらず、ゴミ屋敷の片付けや清掃でも特殊清掃が必要になります。
部屋をきれいにするのであればハウスクリーニングで対応できるケースもあるでしょう。
しかし、あらゆる種類のゴミや足の踏み場もない程に散らかり積み上げられているような状態では長期間部屋の掃除をしておらず、害虫はもちろん、カビや生ゴミの腐敗臭が混ざりあって発生していると考えられます。
室内はおろか建物全体に細菌が蔓延しており、健康被害を引き起こす可能性があります。
このような状態では通常のハウスクリーニングで対応するのは不可能なため、特殊清掃業者に依頼をする必要が生じます。
さらに、ゴミ屋敷で孤独死が発生すれば、特殊清掃を行うのが基本となるでしょう。
事件や事故が発生した現場では、特殊清掃が必要になります。
遺族の心理的な負担が大きく、現場に足を踏み入れることすら難しい場合も少なくありません。
血液などの除去作業や、発見が遅れた場合の臭いの処理、清掃後の遺品整理や不用品処分なども考慮すると、特殊清掃業者への依頼が必要となります。
特殊清掃業者への依頼から作業完了までの流れを見ていきましょう。
死因が分からない遺体を発見すれば、警察に連絡してください。
孤独死や自殺を含め、その他事件性があると思われる場合は警察に連絡します。
遺体を見つけたら、遺体と現場にある物に決して触れてはいけません。
家族や知人が横たわっていれば体をさすってしまいそうになりますが、死因を特定するために警察が検死を行うので、現場はそのまま保存しておかなければならないのです。
もし遺体の発見までに長い期間を要していれば部屋全体が汚染され、ウイルスや
細菌が空気中に充満している可能性があり、人体に危害を及ぼします。
そうした観点からも現場に不用意に立ち入らず、警察に連絡しましょう。
現場が賃貸住宅であれば、立ち入り可能になり次第、管理者に状況報告と相談をしましょう。
退去時には原状回復が必要になりますが、どの範囲までの修復を必要とするかを話し合って決めます。
しかし、遺族の中にはショックが大きく精神的な負担を負っている方も少なくありませんし、原状回復工事は専門家でなければ必要な工事を判断するのは難しいでしょう。
そうした場合に、管理会社や大家さんと原状回復について代行で交渉してくれる特殊清掃業者を選ぶのがおすすめです。
管理会社や大家さんと相談をしたら、特殊清掃業者に問い合わせて見積もりを依頼します。
まずは電話で現状や修復を依頼する範囲を伝え、現場に来てもらい見積もり出してもらいましょう。
この時に必要な作業や工事を説明してもらいますが、もし可能であれば、大家さんや管理会社の担当者にも見積もりの場に参加してもらうと良いでしょう。
急ぐとは思いますが、費用の相場を知り、できるだけ価格を抑えるためにも複数の業者に見積もり依頼をすることが大切です。
各業者の見積もり、作業内容を比較して業者を選定します。
あまりにも料金が安すぎる業者には注意しましょう。
人件費を抑えるために作業をアルバイトに任せて徹底した清掃を行ってくれない可能性もあるからです。
臭いが完全に除去されず、別の業者に再依頼しなければならなくなるような事例も報告されていますのでトラブルを避けるためにも料金だけで判断せず、経験豊富で確かな技術がある業者に依頼しましょう。
自分たちで片付けや掃除をして少しでも費用を抑えようとする遺族をいらっしゃいますが、特殊清掃を要するケースでは衛生上の問題から通常ゴミで処分できない物もあり、付着したウイルスや細菌によって人体に危険が及ぶ恐れもあります。
また、臭いや害虫が外に出て行かないように窓や戸は閉じたままにし、換気扇も使用しないなど近隣住民への配慮も欠かせません。
現場はそのままにしておき、特殊清掃業者に作業を任せるほうが確実です。
専門の機材や薬剤を使用して汚れや臭いを取り除いてくれます。
現場の状況や作業内容にもよりますが、作業は数時間から数日にかけて行われます。
数日後に完全に消臭できているか確認に来てくれる業者もいます。
賃貸物件であれば清掃完了後に大家や管理会社に連絡をして、状態を確認してもらいましょう。
万が一、依頼内容と異なる作業をされたり、遺品整理で大切な遺品を紛失されていたりすれば業者に問い合わせましょう。
それでも解決しない場合は、業者の横行を食い止めるために国民生活センターなどへ相談してください。
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現状対応できない地域も一部ございます。
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料金の目安を紹介します。
特殊清掃と同時に遺品整理も依頼する場合は、特殊清掃費用に遺品整理費用が加算されるます。
ぜひ覚えておきましょう。
間取り | 費用 |
1K | 30,000円~ |
1LDK | 70,000円~ |
2LDK | 120,000円~ |
3LDK | 170,000円~ |
4LDK | 220,000円~ |
作業内容 | 費用 |
汚物除去 | 54,000円~ |
害虫駆除 | 13,000円~ |
消臭・消毒 | 32,000円~ |
強烈な臭いが発生している現場ではオゾン脱臭を行います。
高性能なオゾン脱臭機材を用いて脱臭を行う方法で、遺体の発見までに長い期間を要した場合に有効です。
間取り | 費用 |
1K | 30,000円~ |
1LDK | 63,000円~ |
2LDK | 96,000円~ |
3LDK | 151,000円~ |
4LDK | 195,000円~ |
当コラムを運営している特殊清掃プログレスでは特殊清掃の作業事例を紹介しています。
作業内容と料金の参考にぜひご覧ください。
遺品整理プログレス 特殊清掃の作業事例はこちら
特殊清掃を行うために必要な資格や免許はありません。
しかし、事件現場特殊清掃士や遺品整理士、脱臭マイスターのような業務に関連した民間資格を取得しているスタッフが多数在籍している業者であれば、業務に関する知識や法律、技術の習得に注力しており、適切な作業を行ってくれると期待できます。
特殊清掃業者の選定に迷う場合は参考にすると良いでしょう。
孤独死が発見される一番の原因は、近隣住民からの「異臭がする」という通報です。
異臭が遺体発見の原因になった場合はすでに死後数日から数週間が経過しており、現場は凄惨な状態になっていると想像できます。
孤独死の発見が遅れた現場には大量のハエやウジムシが湧き、鼻をつんざく死臭や腐敗した遺体から流れ出た体液や血液……など、顔をそむけたくなる壮絶な光景が広がっています。
通報を受けて駆けつけた大家さんや家族の中には、この壮絶な体験を目の当たりにしてトラウマになる人も少なくありません。
遺体は検視のために警察が回収しますが、それ以外はそのままの状態です。
室内にはウイルスや害虫が蔓延して非常に危険な環境のため立ち入ることもままならず、ましてや掃除や片付けができる状態ではありません。
ネット上には孤独死現場の特殊清掃に関する記事が多数掲載されています。
現場のイメージや特殊清掃士の仕事内容、従事者としての思いなど、非常に興味深いルポルタージュがございますので、興味のある方はぜひお読みください。
・PRESIDENT Online 『「人は死ぬと腹が割れる」腐敗した遺体に向き合う特殊清掃人の”一番つらい仕事”』
・PRESIDENT Online『「左足をやむなく切断」想像を絶するほど過酷な”ゴミ屋敷清掃”という仕事』
・東洋経済ONLINE「30~40代の「孤独死」壮絶な後始末に見えた現実 今の日本では誰に起こってもおかしくない』
普段の生活で孤独死やゴミ屋敷問題は、他人事に感じるかもしれません。
しかし、高齢化や単身世帯者数が顕著に進む日本にでは、いつ誰が身近な人の孤独死に直面しても不思議ではありません。
孤独死で亡くなり、遺体の発見までに時間がかかった場合は特殊清掃が必要となります。
死臭が外に漂っている場合は想像以上に壮絶な状態です。
臭いやウイルスによる健康被害も考えられますので、室内に立ち入るのは控えましょう。
特殊清掃業者への依頼までの流れや仕事内容、料金相場を紹介していますので、いざというときにはぜひ参考にしてください。